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スワロウテイル 人工少女販売処(籘真千歳)


スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)
(2010/06/30)
籘真 千歳

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人与の悩み

 日本で発生した<種のアポトーシス>のパンデミックは、感染者を関東湾の自治区に隔離することで封じ込められた。<種のアポトーシス>は異性の性交渉によって悪化するとみられたため、自治区は円形蓄電施設/メガ・フライホイールによって男性区画と女性区画に分離され、天皇陛下の代理たる総督・椛子閣下によって統治される。両区画を行き来することが出来る唯一の存在である椛子閣下は、ただ一人の一等級人工妖精である。
 人工妖精は、地中深くに生息する古細菌類/アーキアの研究から生み出された、蝶型微細機械群体により構成される人工の生命体であり、微細機械はあらゆる細胞に擬態する。そしてその精神は、精神原型師により設計されたわずか四種類の精神原型、土気質/トパーズ、火気質/ヘリオドール、水気質/アクアマリン、風気質/マカライトを基礎に、ロボット三原則に加えて個性を定義する原則とそれを秘する原則を併せた五原則によって形作られている。

 自治区私設自警団/プリ・イエローの捜査官である曽田陽平は、人工妖精によって殺された人間の事件を捜査していた。もっとも、その捜査は日本政府の出先機関である赤色機関/Anti-Cyanに引き渡すまでの、僅かな時間に限られる。その現場にやって来た人工妖精は、一等級から四等級までしかないはずの等級外の少女だった。
 その少女、深山之峨東鴉ヶ揚羽は、一級精神原型師の詩藤鏡子の保護下にある人工妖精であり、全能抗体(マクロファージ)之師事により非公式の治安機関として活動する青色機関/BRuEの最後の抹消抗体(アクアノート)だ。彼女の調査により、傘持ち/アンブレラと仮称されている犯人は五原則が破綻していないという事実が明らかになる。

 性自然回帰派や妖精人権擁護派という自治区内の政治対立や、唯一五原則を持たない人工妖精としての悩み、そして人間と人工妖精の関係性を描きつつ、自治区と人類の向かう先を描いている。




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