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天体少年。 さよならの軌道、さかさまの七夜(渡来ななみ)

天体少年。―さよならの軌道、さかさまの七夜 (メディアワークス文庫 わ 3-1)天体少年。―さよならの軌道、さかさまの七夜 (メディアワークス文庫 わ 3-1)
(2012/09/25)
渡来 ななみ

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瞬間にして永遠の恋

 兄の北斗と妹のすぴかは母の安西なつめを選び日本で生活しているにもかかわらず、天文学者である父の如月大祐を選び、中学校にも通わず南の島で宇宙を眺めることを選んだ如月海良は、父の助手の滝沢美穂や田代ゆきに勉強を教えてもらいつつ、しかし、同い年の子供たちとは交流することなく生活していた。
 そんなある日、彼女の前に、τ-38502aw、タウと名乗る少年が現れる。彼は未来で彼女と知り合い、七日間を過ごして来たといい、名残惜しげな、愛おしげな表情をしながら、別れを告げて消えていく。タウは、ミラとは逆の流れの時間を進む、ダークマターでできた不可視の天体なのだ。

 はじめて出会った少年から向けられた親密な表情に戸惑いながら、ミラはタウとの七日間を過ごし始める。夜の間だけ人間の姿をとれるというタウど時間を過ごすうちに、タウに心惹かれていくことを自覚していく海良だったが、逆にタウは、海良と初めて出会う瞬間へと向かっていき、段々と海良との距離を感じさせる態度を取っていくようになるのだ。
 ちょうど真ん中、互いが互いを等分に知る瞬間のみが、彼女たちが共に恋人同士となれるとき。それより前も後ろも、どちらかの心の距離が遠くなっていくのだ。

 最初で最後、七日間に限られることが既に決まっている恋。後は互いに、もう出会えないことを知りながら、思い出だけを抱えていくしかない。でも、タウは出会えてよかったという言葉を残して去っていく。はたして七日目に海良に去来する思いとは?

 すごく好きなんだけれど、相手は自分のことをまだ知らない。そんな矛盾した状況に対応しなければならない感情を抑える気遣いが切ない。相手の気持ちは離れて行き始めているのにそれを必死に追いかけるというのは現実の恋愛でもあり得る状況なのだが、同じ現象であっても、この設定の中ではそれはとても煌めいて見えるのが不思議。
 よくこんな変な設定を考えたなあ。




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